私はギャンブル依存症?|ギャンブル依存かチェックする3つの方法
「パチンコをやめたいんだけど、やめられない。」
「今は家事をしなければならないのに、麻雀のことが頭から離れない。」
こうお悩みの方は、もしかすると「ギャンブル依存症」かもしれません。
ギャンブル依存症は「パチンコやマージャンなどのギャンブルを自分の意志ではやめられない精神疾患」です。
ギャンブルにはまっている人の中には、自分がギャンブル依存症かもしれないと不安を抱えつつも、病院等に行くことが怖い、と悩む方もいるかもしれません。
この記事ではギャンブル依存症かチェックする方法についてご紹介します。
自分はギャンブル依存症なのか、それとも違う精神疾患の恐れがあるのかなどを知る1つのきっかけになるかと思います。
ギャンブル依存症かもと悩む当事者だけでなく、当事者の家族の方にも使っていただけるテストもあります。
お読みのあなたが、少しでも不安な日々が減りますよう祈っています。
目次
1. ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症をチェックする方法をお伝えする前に、まずはギャンブル依存症について整理します。
ギャンブル依存症とは、「ギャンブル等の賭博行動を自分の意志ではやめることのできない精神疾患」の1つです。
DSM5では物質関連障害および嗜癖性障害群のなかでも、非物質関連障害群と記載されている疾患で、ギャンブル依存症は臨床現場では「プロセスの依存」と呼ばれています。
「プロセスの依存」についてご存知ない方もいらっしゃると思うので簡単にご説明したいと思います。
プロセスの依存とは、特定の行為に依存する病です。
例えば、スマホでネットサーフィンをやめられず、不登校になるケースが臨床現場等で報告されています。
このような状態の背景には「インターネット依存」が関連しているかもしれません。
もしくは今回のギャンブル依存症の様に、借金を作っても、欠勤をしても、続けてしまう行為は「プロセスの依存」(この場合はギャンブルを続ける行為に依存している)の可能性があります。
最近、ICD11で疾病として認定された、「ゲーム障害(ゲーム依存症)」も「プロセスの依存」の1つです。
これらは本人のわがままや甘えによるものではなく、依存症によって引き起こされているものです。
従って、特定の行動をし続ける当事者自身も苦しんでいる場合があります。
プロセスの依存は、病院等で治療を進めることで改善することが期待できます。
2. ギャンブル依存症をチェックする方法
ギャンブル依存症をチェックする方法ですが、現在よく使用されているテストは3つあります。
1つずつ紹介していきます。
①DSM5
DSM5とは主にアメリカで使用される、診断基準の1つで「米国精神医学会が作成する精神疾患・精神障害の分類マニュアル」と呼ばれています。
2013年にアメリカで出版されました。
日本でもギャンブル依存症だけでなく精神疾患の診断をする際に使用する診断基準の1つです。
DSMの診断基準では、ギャンブル依存症の特徴を示す 9 項目のうち、4 つ以上に当てはまること(基準 A)、そして「その賭博行為は、躁病エピソードではうまく説明されないこと」(基準 B)を両方同時 に満たす場合、「ギャンブル障害」と診断されます。
ここでは診断基準についてもご紹介します。よければ参考にしてください。
A.臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的かつ反復性の問題賭博行動で、その人が過去12か月間に以下のうち4つ(またはそれ以上)を示している。
(1)興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする欲求
(2)賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、またはいらだつ
(3)賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある
(4)しばしば賭博に心を奪われている(例:次の賭けの計画を立てること、賭博をするための金銭を得る方法を考えること、を絶えず考えている)
(5)苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い
(6)賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った金を“深追いする”)
(7)賭博へののめり込みを隠すために、嘘をつく
(8)賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある
(9)賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む
B. その賭博行動は、躁病エピソードではうまく説明されない。
②SOGS(ギャンブル依存症自己診断)
次に、ギャンブル依存症治療で成果を上げているサウスオークス財団が開発した SOGSテストをご紹介します。
テストの採点の結果、5点以上であれば「ギャンブル依存症」としています。
ただし、テストの結果3点、4点であったから、ギャンブル依存症でないと安心できるわけでもなく、将来ギャンブル依存症になる可能性がある「問題賭博者」とされています。
設問1.ギャンブルで負けた時、負けた分を取り戻すために、またギャンブルをしたことがある。
1 はい 2 いいえ
設問2.自分に賭け事やギャンブルの問題があると思ったことがあるか、その問題を人から指摘されたことがある。
1 はい 2 いいえ
設問3.お金の使い方について、同居していた人と口論となった原因が、主に自分のギャンブルだったことがある。
1 はい 2 いいえ
設問4.誰かからお金を借りたのに、ギャンブルのために返せなくなったことがある。
1 はい 2 いいえ
設問5.ギャンブルのためか、ギャンブルによる借金を返すために、下記のいずれかからお金を借りたことがある。
①家計 1 はい 2 いいえ
②サラ金・闇金 1 はい 2 いいえ
③銀行・ローン会社 1 はい 2 いいえ
判定基準:上記のうち、はいが2つ以上あれば、ギャンブル障害を疑う
③GAによる20の質問
最後にご紹介するテストは、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)という「ギャンブル依存症当事者による自助グループ」が作成した20の質問です。
このテストは20の質問に、「はい/いいえ」で答えていきます。その結果はいが 7 項目以上あると「強迫的ギャンブラー」であると診断されます。
詳細はこちらからご確認いただけます。興味のある方はぜひご覧ください。
3. まとめ
この記事では、ギャンブル依存症かどうかチェックするテストのご紹介をしていきました。
これまでの内容を改めて整理します。
- ①ギャンブル依存症は、ギャンブルをやめたいけどやめられない精神疾患です。
- ②ギャンブル等の賭博行為を続けてしまうのは、本人の甘えやわがままではなく、ギャンブル依存症である可能性が高いです。
- ③ギャンブル依存症かどうかチェックするテストとして「DSM5の診断基準」「SOGS(ギャンブル依存症自己診断)」「GAによる20の質問」があります。
私たちヒューマンアルバでは、ギャンブル依存症を含む様々な依存症当事者と家族のサポートを行っています。
「自分はギャンブル依存症かもしれない...。でも病院に行くのは怖い...。」
そのようにお思いの場合、ぜひ私たちを頼ってください。
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参考:
・日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会(2014) DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版) 精神神経学雑誌 第116 巻 第6号(2014) 429‒457頁
・講演4「医学的立場からの依存症」京都大学こころの未来研究センター教授: 船橋 新太郎氏
・西川京子『知っていますか? ギャンブル依存 1問1答』 (2013) 解放出版社
・高橋三郎・大野裕監訳, 染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫, 三村將, 村井俊哉 翻訳(2014) DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引.(日本精神学会監修) 東京: 医学書院
ライター名: 木原彩