依存症の原因はドーパミン? 発生要因と抑制方法
「依存症かもしれない。でもどうして依存してるのだろう?」
そんな疑問を感じたことはありませんか。
その問いの答えは「ドーパミン」という脳内物質にあります。
それでは、ドーパミンとは一体なんなのでしょう。
この記事では、人が依存症に陥る原因を「ドーパミンと脳のメカニズム」の面からお話します。
目次
1. ドーパミンとは
依存症は、脳から分泌されるドーパミンというホルモンが影響しています。
ドーパミンとは「生きる意欲を作るホルモン」と呼ばれるセロトニン・ノルアドレナリンと並ぶ三大神経伝達物質のひとつです。
ドーパミンが放出されると人は快感や多幸感、やる気が湧いたり感じたりします。
一方で、ドーパミンが不足すると体はストレスを感じてしまいます。
2. ドーパミンと依存症の関係性
依存症とは、依存対象の使用をやめたくてもやめられない状態のことを指します。
なぜ、自分の意思で使用をやめられなくなってしまうのでしょう。
その鍵となるのが「ドーパミン」です。
依存症患者が依存対象を使用した時も、脳ではドーパミンが放出されます。
その際に中枢神経が興奮し、快感となって伝わります。
この感覚を脳が一度でも報酬と認識すると、その報酬を求める回路が脳内にできあがります。
アルコールや薬物を体に取り込む行動が習慣化されると、快楽物質が強制的に分泌されるようになるのです。
すると、次第に快感を感じる中枢神経の機能が低下します。
快感が感じにくくなるにつれ、以前のような強い快感を得ようと、ますますアルコールや薬物の量や頻度が増えていきます。
これこそ人が依存症に陥るメカニズムです。
3. 依存症チェック
依存症の種類と要因について、ご紹介します。
①薬物
薬物に含まれるアヘン、ヘロイン、コデイン、モルヒネといった物質が要因です。
上記中毒物質は下記の働きをします。
・脳で自然に発生する神経伝達物質のふりをする
・自然発生する神経伝達物質の量を変化させる
薬物依存の依存度は高く、一度手を出してしまっただけで強い欲求に襲われます。
②ギャンブル
ギャンブルの「賭ける」「勝つ」「緊張感を感じる」時に脳内でドーパミンが放出されます。
ギャンブルには「勝つ」以外にもドーパミン放出ポイントが多くあるため、勝敗に関係なく依存状態に陥ってしまうのです。
③アルコール
アルコールには神経伝達物質のバランスを崩す機能があります。
定期的に大量のお酒を飲むと、脳のシナプスがコントロール不可能になり、落ち着かせられなくなり依存状態に陥ります。
④恋愛
「他人と恋愛関係でいる時」「セックスで興奮している時」に脳はドーパミンを放出します。
「好きな人のことを考えている時」「魅力的な人出会ったとき」「好ましい人のSNSをチェックした時」でもドーパミンは放出されます。
この繰り返しで依存状態になってしまいます。
⑤インターネット・アプリ
インターネット上のコンテンツは人を夢中にさせるように作られています。
そこで人は気軽に手に入る情報やコンテンツに快感を覚え、脳ではドーパミンが放出されるのです。
4. 依存症から脱却するために
一度依存状態になった脳を元の状態へ脱却することは可能なのでしょうか。
結論として、ドーパミンの抑制をして放出を通常水準に戻すことで依存症から回復することは可能です。
ここからは、回復のための基本の4ステップを説明します。
①依存症であることを自覚する
依存症は「否認の病」と言われています。
まずは、本人が自身が依存症であると自覚し、認め、克服を決意することが第一のステップです。
依存症患者の家族の皆さんもそのためのコミュニケーションから初めてみましょう。
②専門医や病院、クリニックで治療を受ける
病院で行われている個人、あるいは団体での精神療法を受診しましょう。
身体面に限らず、生活、経済、精神的なケアまで総合的なサポートを受けることができます。
③自助グループに参加して仲間を見つける
病院に行くだけでは依存状態からの脱却はできません。
もっとも大事なステップは「依存状態の危険性を自覚し、短絡的な快感を求めない(脳の欲求に負けない)強い意思を持つこと」です。
そのためには経験者との交流、新しい生き方の模索をすることが大事であり、自助グループでそれが可能になります。
④きちんとした食事・運動・睡眠をする
ドーパミンを抑制するために別の快感を司る神経伝達物質「セロトニン」を優位にすることも大事です。
歩く、走る、泳ぐなど積極的に運動を行ったり、バナナや乳製品などの食事をとったり、早寝早起きをしたり、規則正しい生活を送ることでセロトニンは分泌されます。
5. まとめ
- ①依存症になる原因は快感を司る神経物質、ドーパミン放出による脳の変化です。
- ②薬物やアルコール、ギャンブルなどにより、ドーパミン放出量が狂い、依存状態に陥ります。
- ③脳の構造が変化した後でも、依存状態からの回復は可能です。
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参考:
・食べる物で違いが出る 自律神経を整える「幸せホルモン」2017.08.19. 朝日新聞 Reライフ.net
・ハンク・グリーン インターネットは麻薬に近い? 脳はなぜ“依存”するのか logmi
・渡辺登『依存症の全てがわかる本』(2007)講談社
・西川京子『依存症 家族を支えるQ&A: アルコール・薬物・ギャンブル依存症 家族のメッセージを添えて』(2018) 解放出版社
ライター名: 宮口まりこ