アルコール依存症に気づかない?|1日の飲酒適正量を知ろう
アルコール依存症は自覚しにくい病気です。
アルコールを飲むこと自体は違法ではないため、アルコールによって生じる問題は一般的に甘く捉えられてしまう傾向があります。
依存症の疑いがある方でも、自身が「アルコールをやめられなくなっている」状況であることに気づいていないケースも少なくありません。
今現在アルコール依存症ではない方でも、その予備軍である可能性は十分にあり得ます。
今回の記事では「アルコール依存症」そして「1日におけるアルコールの適正飲酒量」についてご紹介していきます。
飲酒する際の目安になれば幸いです。
目次
1. アルコール依存症とは
アルコール依存症は、WHO(世界保健機構)により以下のように定義されています。
「飲酒等のアルコールの摂取によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神障害」
簡単に言うと、「アルコールの摂取を自分の意志でコントロールできない病気」のことです。
アルコール依存症は別名、「否認の病」とも呼ばれています。
飲酒によって、職場トラブルや家庭トラブル、金銭的な問題が起こっても、依存症者本人がその事実を認めたがらないことがあります。
「アルコール依存症」に対する誤解や偏見から、ご自身の問題を過小評価してしまうのです。
アルコール依存症になると、「酒なし」の生活が想像できなくなります。
飲酒できないことの恐怖から「アルコール依存症」と認めたがらないケースが少なくありません。
依存症が進行すると、依存症でない人に比べ「うつ病」や「自殺」のリスクが高まります。
2. アルコール依存症と飲酒の適正量
アルコール等の飲酒の1日の適正量はどのくらいなのでしょうか?
適正量には個人差があり、同じ人であってもその日の状態により酔い具合が異なる場合があります。
そのため、一概に判断することは難しいです。
1つの目安として、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動『健康日本21』の基準が参考になります。
ここでは「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています。
缶ビール(500ml)を例にとってみましょう。
缶ビールにはどれくらいアルコールが含まれているのでしょうか?
上記の図を見てみると、缶ビール1本にはアルコールが20g含まれていることになります。
こうして見てみると、意外と少ないと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その他のお酒の目安もお伝えします。
【アルコールの1単位=純アルコール20gを含む酒類】
※年齢や性別、酵素活性などによって「飲酒の適正量」は一人ひとり異なります。
アルコール依存症でない人でも、生活の中に「お酒を摂取すること」が組み込まれている可能性があります。
例えば、仕事の付き合いや料理等の日常生活でアルコールを利用する場面等です。
そのような場合、自分でどれだけお酒を飲んでいるか意識できないかもしれません。
飲酒の適正量を知っておくことはその人の今と今後の健康やその人の周囲者の幸福のためにも必要だと考えます。
見落とされがちな何気ない日常生活でのアルコール摂取も考慮しながら、ぜひ上記の表などを参考にしてみてください。
計算方法に関しては以下をご覧ください。
3. 飲酒の適正量を調べるチェックリスト
アルコール飲酒の1日の適正量について、いざ知ったところで、「自分はアルコールを飲みすぎていないか?」不安になる方もいるかもしれません。
1つのおススメの方法は、自分のスケジュール等に、1日に飲んだ量を書き出してみることです。
実際に飲酒量を書き出すことで、自分の飲酒量を客観的に見やすくなると思います。
書き出すのは面倒だとお考えの方もいるでしょう。
そのような方は(インター)ネットを活用してみるのも良いかもしれません。
近年ネット等では簡単にアルコールの飲酒量を入力することで、飲酒ができ清涼であるか調べる方法があります。
ここでは、使いやすいツールについていくつかご紹介します。
①SNAPPY-CAT
こちらはウェブ上で簡単に、お酒を飲みすぎていないかチェックするテストを行えます。
お酒を飲みすぎていないかの評価と、フィードバック等が行われるプログラムです。
実際に質問に答えていくことで、飲酒における具体的なアドバイスがもらえます。
また、アルコール摂取についての知識もまとまっているページもあります。
参考:SNAPPY-CAT
②SNAPPY-PANDA
ウェブ上で飲酒量が簡単に測定できるものです。
またアルコールの分解完了時間を算出できるプログラムになっています。
参考:SNAPPY-PANDA
③SNAPPY-BEAR
YouTubeでナレーション付き動画が視聴できます。
アルコールの摂取によって心や体にどんな影響があるのか学べるプログラムです。
「SNAPPY-BEAR」とYouTube上で検索すると視聴可能です。
参考:SNAPPY-BEAR
以上3つのサイトをご紹介いたしました。
これらは「WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究」によって運営されています。
「自分はアルコール依存症かもしれない」
「家族や部下や上司、友達がアルコール依存症かもしれない」
と感じた方は、一人で悩まず、精神保健センターや保健所や病院等にご相談ください。
私たちの施設でも無料相談を受け付けております。
お気軽にご相談ください。
4. まとめ
今回の記事では、「アルコール依存症」と「アルコール摂取の適正量」についてお話していきました。
改めて内容をまとめていきます。
- ①アルコール依存症とは「アルコールの飲酒や摂取を自分の意志でコントロールできなず、その人の生活に悪影響を与える病気」です。
-
②アルコールの摂取の1日の適正量は1日20gです。
-
③アルコールの適正量を確認するために、実際にスケジュールに記載したり、ウェブ上で確認することをお勧めします。
私たちヒューマンアルバでは「アルコール依存症」だけでなく、様々な依存症の治療プログラムを提供しています。
お困りごとがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
お問い合わせはこちらから↓
社名: 株式会社ヒューマンアルバ
住所: 〒214-0038神奈川県川崎市多摩区生田6-4-7
TEL: 044-385-3000 (受付時間: 平日10:00-17:00)
----------------------------------------------------------------------
ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。
・つらい思いを吐き出す場として
・状況を変えていく学びの場として
ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
----------------------------------------------------------------------
参考:
・吉田精次『アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法―CRAFT(クラフト)』(2014) アスクヒューマンケア
・健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料 (2012) 厚生労働省
・小杉好弘 『アルコール依存症がよくわかる本-正しい理解と回復のための68ケース』(2011)中央法規出版
・アルコール依存症と健康障害 (2018) ドクタートラスト
ライター名: 木原彩