「お金がないから依存症治療ができない」とお悩みの方への処方箋②
依存症を克服したいけど、「お金がなくて治療できない」とお悩みのあなたへ
皆さんの中には、依存症を治したくても仕事を失っていて、自由に使えるお金が少ない方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、①に引き続き、お金のない方でもできる治療法の1つ、「自助グループの活用」とその効果についてお伝えしていきます。
目次
1. 「お金がない」とお悩みのあなたへ
「お金がないから依存症治療ができない」とお悩みの方への処方箋②では、お金がなくても利用できる様々な保障制度についてお話ししました。
そうはいっても、「様々な保障制度等を申請するのが難しい」、「心理的ハードルが高い」とお考えの方もいるかもしれません。
そこで、依存症治療の際に、高価ではなく治療効果の高い「自助グループ(集団精神療法)」についてご紹介します。
自助グループとは、犯罪被害、性被害などの同ような傷つき体験をした人たちや、依存症や発達障害等の病気等で悩みを抱えた人など、共通の悩みや苦しみをもった方々が自分の意思で参加する集団のことをいいます。
自助グループでは「依存症当事者」、「犯罪被害にあった人たち」など同じような悩みや痛みを持った方々が、「当事者」が同じ目線で語り合い、苦しみや悩みの緩和や、回復を目指し活動しています。
例えば、自助グループでは参加者が依存症になった経緯やその時の苦しい気持ちなどの体験談を共有します。
自助グループの中では原則、言いっぱなし・聞きっぱなしのルールがあり、自分の体験談を「誰かに怒られるかも」と不安になることもなく、発言することができます。
自助グループの効果として近年の研究では以下のように報告されています。
①自助グループに通うことで、自分と同じように悩んでいる人がいるのだと感じ孤独感が緩和される。
②自助グループに通う仲間からの助言や発言の方が、専門家の助言よりも、受け入れやすい。
③自助グループで同じように悩む人との出会いを通して、客観的に自分を見直すことができる。
④自助グループで、同じような悩みを持つ人を支える経験から、自分は誰かのためになれるという自己肯定感を感じられる。
これらの効果は依存症当事者が通う自助グループ等でも、当事者の精神的安定等に良い影響を与えると言われています。
2. 自助グループの主な組織|AAと断酒会について
自助グループ等は依存症当事者等に効果があると言われています。
ここではアルコール依存症当事者が通う可能性のある自助グループについてご紹介します。
①AA(アルコールアノニマス)
1935年にアルコール依存症当事者の方々たちで結成した、アルコール依存症当事者の自助グループの1つです。
AAの特徴として、匿名性(ニックネームで会議に参加できる)ことや、献金によって会が運営されているため、実際にAAに参加する際にもあまりお金がかからずこちらの自助グループに参加できます。
アルコール依存症を治したいと願う当事者はどんなひとでも参加できます。
②断酒会
断酒会は、正式名称を全日本断酒連盟と呼び、東京断酒新生会と高知断酒新生会が力を合わせ1963年に発足しました。
断酒会は実名制を重視していたり、家族も出席する必要があるなどのルールがあります。会費制によって運営されているため、自助グループに所属するよりはお金がかかる可能性もあります。
③アラノン
アラノンとはアルコール依存症の家族や友人などアルコール依存症当事者の周りの方のための自助グループです。
依存症の家族は罪悪感や孤独感を持っている可能性がありますが、実際に自分と同じような悩みを持つ方との出会いを通して、少しずつ当事者の家族も元気になるかもしれません。
3. まとめ
今回は依存症治療をしたいけどお金がないとお悩みの方に向けて、自助グループという有効な治療法があることなどをご紹介しました。
これまでの話をまとめていきます。
- ①自助グループは、共通の悩みや苦しみをもった方々が自分の意思で参加、回復や苦しみの緩和を目指す集団を指します。
- ②自助グループに通うことで孤独感や罪悪感が緩和させる可能性があります。
- ③アルコール依存症当事者がよく通う自助グループとして、AAや断酒会、アルコール依存症当事者の家族が通う自助グループとしてアラノンがあります。
私たちヒューマンアルバでは、依存症の家族にむけて『家族会』を実施しています。
参加費は無料ですので、お気軽にご参加ください。
また弊社では、依存症回復にむけたプログラムも実施しています。
ちょっとしたご相談でも構いません。ぜひご連絡頂けると幸いです。
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・つらい思いを吐き出す場として
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ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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参考:
・松本俊彦『臨床心理学増刊第8号―やさしいみんなのアディクション』(2016) 金剛出版
・新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン に基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き 第1版(2018) 一般社団法人 日本アルコール・アディクション医学会 日本アルコール関連問題学会
・竹元隆洋(2000)アルコール依存症の精神療法