「お金がないから依存症治療ができない」とお悩みの方への処方箋①
「本当は依存症の治療をしたいんだけど、お金がないからどうすることもできない...。」
「彼のせいでお金がないんです。これからどう生きていけばいいんでしょう...。」
依存症治療に対して、「いつまでお金かかるんだろう...。」「私たちはこれから生活していけるのだろうか?」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、依存症当事者の方、またそのご家族に向け、利用できるかもしれない保障制度サポートについて紹介していきます。
目次
1. 「お金がない...」とお悩みのあなたへ|保障制度の説明
依存症になり、お金がないというお悩みのために、いくつかの保障制度をご紹介します。
生活保護制度
生活保護制度は、その利用し得る資産や能力、その他あらゆるものを活用してもなお、生活に困窮する方々に対して、困窮の程度に応じた必要な保護を行う制度です。
「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するとともに、その自立を助長する制度であり、社会保障の最後のセーフティネットとされています。
簡単に説明すると、以下のようなケースが重なった際に受給できる可能性があります。
1. 何らかの理由で収入がない
「家族全員が精神障害や何らかの病気で、収入がない」
「母子家庭で子どもを預けることができず、働けないために給与がない」
「高齢で就職先がなく、また年金を支払っていなかったため、収入がない」など
2. 親族・身内に資金援助をしてくれる人がいない
「親族が精神障害にかかり、資金援助が難しい」
「身内はもう皆なくなっていて、天涯孤独である」
「援助が受けられる親戚等がいない」など
上記2つのケースの他にも、いくつかの要因が重なった場合は受給可能です。
生活保護制度では、生活を営む上で必要な各種費用に対応して扶助が支給されます。
具体的には以下の8つが挙げられます。
①生活扶助
日常生活に必要な食費・被服費・光熱費などが支給されます。こちらは金銭で支給されます。
②住宅扶助
アパート等の家賃が負担されます。こちらの扶助は上限がありますが、金銭で実費で支給されます。
③医療扶助
けがや病気で医療を必要とする時の扶助のことをいいます。福祉事務所が必要だと判断した際に、医療券を発行してもらえます。
④教育扶助
生活保護世帯に子どもがいる場合、義務教育を受ける際に必要な金銭を負担してもらえます。原則金銭給付されます。
⑤介護扶助
介護にかかわる援助がうけられます。具体的には、生活保護を受けている方が施設入所する際に、お金の負担なく入所できるなどです。
⑥出産扶助
出産の際に金銭援助がうけられます。
⑦生業扶助
就労や必要な技能の習得に必要な費用を支給します。2005年より高等学校就学費がこの扶助により支給されています。
⑧葬儀扶助
葬儀を行う場合に定められた範囲で金銭支給があります。
生活保護等が気になる方は、お近くの福祉事務所にご連絡ください。
障害年金制度
障害年金とは、公的年金の1つです。
はじめて精神科を受診した初診日から1年6か月が経過した日に、あるいは障害の種類によっては、脳疾患などから6月経過後、医師に「症状固定」と認められた日に受給が始まります。
障害年金は、依存症だけでは受給できない可能性もあります。
しかし、依存症の方の場合、「重複障害」と呼ばれる「うつ病」「双極性障害」「統合失調症」などを併発するケースがあります。
こうした重複障害を抱えていると、障害年金を受給できるかもしれません。
実際に受給が決定すると、障害の程度によりますが、月額で6万円から8万円程度支給されます。
支給されたお金の使途は限定されていません。従って、治療だけでなく生活費に充てることも可能です。
また、就労しながらでも原則受給されます。
「自分はもしかしたら障害年金がもらえるかも?」
「もっと障害年金について知りたいわ」
と思われる方は、年金ダイヤルにお問い合わせするか、年金相談窓口にご連絡してみてください。
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*年金ダイアル: 0570-05-1165
月曜日 |午前 8:30-午後 7:00
火-金曜日 |午前 8:30-午後 5:15
第2土曜日 |午前 9:30-午後 4:00
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自立支援医療(精神通院医療)
自立支援医療制度は、医療費の自己負担額を軽減する「公費公負担医療制度」を指します。
以下のような精神障害をお持ちの方が対象です。
・統合失調症
・うつ病
・躁うつ病などの気分障害
・薬物などによる急性中毒又はその依存症
・PTSDなどのストレス関連障害
・パニック障害などの不安障害
・知的障害
※上記以外の精神障害をお持ちの方も受給できる可能性があります。
この保障制度は、診察だけでなく、精神科デイケアやショートケア等でも利用ができます。
自立支援医療を申請すると、一般の方であれば公的医療保険で3割の医療費を負担しているところが1割に軽減されます。
また、統合失調症・アルコール等の依存症で、治療のために高額な医療費が長期間にわたり続く場合、市町村民税課税世帯に該当する方は、通常とは別に負担上限月額が定められ、負担が軽減されます。
これには、直近の12 か月間に、国民健康保険などの公的医療保険の「高額療養費」の支給を3回以上受けた方などが該当する可能性があります。
詳しくは、全国の精神保健福祉センター等にお問い合わせください。
2. まとめ
今回は、依存症治療で活用できる場合がある各種制度やサポートなどについてご紹介していきました。
最後にこれまでの内容を整理します。
- ①依存症治療はお金がなくても、生活保護制度・障害年金制度・医療制度の活用によって、始められる場合があります。
- ②生活保護希望の方は福祉事務所に、障害年金希望の方は年金事務所に、自立支援制度希望の方は精神保健福祉センターにお問い合わせください。
- ③生活保護等の受給が決まると、障害福祉施設でサービスを受けられる可能性があり、通所する場合もお金がかからないことがあります。
ヒューマンアルバでは、各施設で依存症回復プログラムを提供しております。
生活保護世帯や市町村民税非課税世帯は、回復プログラムを無料で受けられる可能性があります。
私たちは依存症回復に向けた無料相談も行っております。
どんな些細な悩みでも構いません。費用はかかりませんので、せひご連絡ください。
「お金がないから」と諦める必要はありません。
お電話でのご相談が難しければ、メールでもお待ちしております。
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社名: 株式会社ヒューマンアルバ
住所: 〒214-0038神奈川県川崎市多摩区生田6-4-7
TEL: 044-385-3000 (受付時間: 平日10:00-17:00)
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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。
・つらい思いを吐き出す場として
・状況を変えていく学びの場として
ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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参考:
・若林朝子(2016) お金がないと訴えるクライエントをどう援助するか?-治療・援助の実際, 臨床心理学増刊第8号-やさしいみんなのアディクション
・片山義弘、その他(2004)『社会福祉(保育ライブラリ 保育・福祉を知る)』北大路書房
・小塩隆士 (2013)『社会保障の経済学』第4版 日本評論社
ライター名: 木原彩