リカバリーパレードに参加して|「依存症」で繋がる温かな場
リカバリーパレードという祭典をご存知ですか?
リカバリーパレードとは、「『アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症などの依存症』を持つ人や、『うつ病や摂食障害等の心の病』を持つ人の回復を祈る祭典」です。
世界でも「リカバリー・ウォーク」※という形で行われています。アメリカやアイルランドなどいくつかの国で、この名前で、同じようなイベントが行われています。
アルコール、薬物、ギャンブル、統合失調症...9月から各地でリカバリーパレード(2016.08.26)福祉新聞
日本ではこれまでに、東京、京都、広島、北九州、仙台、沖縄、横浜など全国各地で行ってきました。
私は今回私は5月19日に、京都のリカバリーパレードやアフターフォーラムに参加しました。
依存症当事者、依存症当事者の家族、そして支援者の人が緩やかにつながり、お互いの幸せを祈る素敵な場で、参加した私も癒された気がします。
この記事では、リカバリーパレードについて、そして今回京都のリカバリーパレードに参加して感じたこと、気が付いたことなどをお伝えします。
※「リカバリーウォーク」は「リカバリーパレード」と同じものになります。
目次
1. リカバリーパレードの概要
まずはリカバリーパレードについてお伝えします。
リカバリーパレードとは、アメリカで30年以上前から行われているパレードで、アメリカ以外の国でも徐々に広がってきています。
(アメリカなどでは、日本で行っている「リカバリーパレード」のことを「リカバリーウォーク」と呼んでいます。)
日本では2010年9月に東京で「第一回リカバリー・パレード『回復の祭典』」という形で開催されて以来、全国でも少しずつその活動が広がっています。
リカバリーパレードは、「『アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症などの依存症』を持つ人や、『うつ病や摂食障害等の心の病』を持つ人の回復を祈る祭典」です。
近年、依存症や心の病を持つ人の苦しさやもどかしさは、ネットなどの発達で当事者の声が1人1人に届き始めつつあります。
依存症治療が不十分だった昔に比べ、「依存症から立ち直り、社会参加することができる」というメッセージが少しずつ社会に広がり始めています。
それでもまだ、今の社会は依存症や心の病を抱える人にとって、「優しい」「温かい」とは言い難いと思います。
そんな社会を、依存症当事者やその家族、支援者が「お互いの回復」を喜び合うことで、変えていくのがリカバリーパレードの特徴です。
2. 【体験談】リカバリーパレードに参加!
次に体験談にお付き合いください。
私は今年の5月19日に開かれた、「リカバリーパレードin 京都」に参加してきました。
関西では去年も開催予定でしたが、雨のため、リカバリーパレードは開催されず、午後のアフターフォーラムだけが開催されたそうです。
そのため、当日雨が降らなかったことがとてもうれしかったですし、参加した私も非常に感慨深かったです。
午後11時に、沢山のスタッフの方に交じり当日参加をしました。
※リカバリーパレードは個人の方の場合、当日ドタ参できます!!
私は特にプラカード等を持っていきませんでしたが、他の参加者さんは、様々なメッセージをプラカードに書き、参加されていました。
例えば「I can’t we can」とメッセージを書いている方がいましたが、それはとても印象的でした。
リカバリーパレードの中での掛け声の「あなたは一人ではありません」の言葉と通ずるものがあり、見ていてとても温かな気持ちになったからです。
パレードが始まり、四条通りや河原町通など、京都の町なみがよく見える大通りを通ります。
大通りをパレードするので、京都に観光に来られている観光客の方や、地元の方、観光客を相手にするお店の方々などが見ている中を通ります。
少しするとパレードを誘導してくれるスタッフの方の声掛けから、「掛け声に合わせて、セリフを言いながら」歩きます。
そのため、周囲の人に「凝視されたり、応援されたり」します。
それが最初は少し気恥ずかしかった気がします。
しかし、一緒に歩いている方と「ちょっと恥ずかしいですよね」「緊張しますー」と話しているうちに、少しずつパレードに参加する人同士がつながっていく気がしました。
ある種、「少し恥ずかしいけど、でも最後まで頑張って歩こう」という共通の思いを持っている方たちと緩やかにつながっていく感覚がありました。
またもう1つ思い出深い経験があります。パレードをしている際、通りを歩いているときに、「パチンコ店」や「居酒屋」を通り過ぎました。
パレードには、ギャンブル依存症から回復し始めている方がいました。
その方がパチンコ店を通り過ぎるとき、事情を知っている仲間は「○○、あかんで。今日は最後までみんなで歩くで」と言い、パレードで使っていたうちわで、見なくて済むよう隠していました。
また歩くのがつらくても、「もうちょっとでつくなー」「パレードが終わったらご飯食べれるで」と周囲をねぎらう言葉が印象に残っています。
パレードの中で、少しずつ世間話をしているうちに、「自分の身の上話」をされる方もいて、その話をどの参加者も温かく傾聴・共感しながら歩いていたことも心に残っています。
・お互いが気遣いながらパレードをすること
・当事者も家族も支援者も「大通りを掛け声に合わせてパレードする」という体験を持つこと
その過程で「緩やか」で、それでも確かな繋がりができている気がしました。
3. リカバリーパレードの次回おしらせ
ここまでお読み頂きありがとうございます。
さて、リカバリーパレード in 京都以外にも、関西で、そして全国各地でリカバリーパレードが今年も行われます。
①大阪
2019年9月28日(土) 11:00集合
靭(ウツボ)公園集合し、難波地域や元町中公園などの大通を歩きます。
②広島
2019年9月16日(月・祝) 13:00集合
ハノーバー庭園に集合し、パレードを行います。
最後に、来年2020年には、「国際リカバリーデー」が予定されています。
これは、現在完成を目指して作成中の、ウェブサイトを通じて全世界的に開始される無料のオンライン・イベントです。
世界中にいる回復中の仲間達をオンラインで繋げることで、「依存症からきっと回復できるんだ」という思いを参加者に持ってもらえるようなイベントが予定されています。
4. まとめ
今回は、実際に参加したリカバリーパレードについてお話していきました。
改めて内容を振り返ってみたいと思います。
- ①リカバリーパレードは、アメリカで発祥した「依存症等の心の病をお持ちの方の回復を祈り、回復を喜ぶ祭典」です。
- ②リカバリーパレードでは、依存症当事者、家族、支援者などが参加し、「パレードをする」という経験を通して、温かな繋がりができていくように感じました。
- ③リカバリーパレードは全国各地で行われ、今年も各地で今後開催が予定されています。
私たち施設でも、依存症当事者の方、依存症当事者の家族や支援者の方がつながる場として、「家族会」を実施しています。
無料で参加できますので、興味がありましたらぜひご連絡ください。
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依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。
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・状況を変えていく学びの場として
ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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ライター名: 木原彩