ギャンブル依存で借金を|ギャンブル依存症者の気持ちと対応法
2018年7月6日、「ギャンブル等依存症対策基本法案」が参院本会議で可決され、成立しました。
これを1つの契機に、ギャンブル依存症そのものも、最近では認知されるようになってきました。
ギャンブル依存症とは、特別な人格や性格の人がなる病気ではなく、だれしもが起こりうる可能性がある精神疾患です。
ギャンブル依存症を発症すると、アルコール依存症やうつ病を併発したり、解雇・失業のリスクが高まります。
また、借金や自己破産に陥るケースもあります。
この記事では、ギャンブル依存症になり借金をする人の気持ちや、借金の対応方法についてご紹介します。
目次
1. ギャンブル依存症で借金する心理
ギャンブル依存症とは、「ギャンブル等にのめり込んで、自分でギャンブル等をしてしまうことをコントロールができなくなる精神疾患」の一つです。
これにより、日常生活や社会生活に支障が生じることがあります。
具体的には、「借金」や「離職」、最悪の場合には「犯罪」に手を染めてしまう場合もあります。
なぜギャンブル依存症になった人は借金をしてしまうのでしょうか?
ギャンブル依存症になると、当人たちは心の奥底で「ギャンブルやめた方がいいかもな...」と感じていたとしてもギャンブルをやめられなくからです。
ギャンブル依存症になると脳の一部が変形し、ギャンブルを想起させるものが目に入った際、衝動的に反応するようになってしまいます。
これはパチンコ店や雀荘を通りかかった時、あるいは競艇のCMを見た時にも起こり得る現象です。
ギャンブル依存症が進行すると、ギャンブルによって生じた負けを取り戻そうと躍起になります。
その結果、もっとギャンブルをしたいという気持ちから周囲に借金をするケースがあります。
ギャンブルに負けたため、その返済に追われ更に借金をしてしまうケースもあります。
依存症が進行すると、ギャンブルをするために借金をする、会社のお金を横領する等の犯罪行為が起こる場合があります。
これは、ギャンブルで生じた借金により精神的に追い詰められる、あるいは周囲からの叱責によるストレスから冷静に判断できなくなること等が関係しています。
2. ギャンブル依存症で借金をした当事者の家族ができること
ギャンブル依存症になり借金をしてしまった人たちに対し、周囲の人間は何ができるのでしょうか?
ここではギャンブル依存症者の家族ができる支援についてご紹介します。
①借金の原因であるギャンブル依存症からの回復をサポートする
この記事をお読みのあなたは、ギャンブル依存症当事者のことを思って、借金の肩代わり等をすでにしたことがあるかもしれません。
もしくは、借金をしてしまっている当事者を過度に責め続けているかもしれません。
しかし、借金をしてしまう根本的な原因はギャンブル依存症になったことが原因です。
そのため借金の肩代わりをしても、一次的には穏やかな生活が遅れるかもしれませんが、次第にまたギャンブルにのめりこみ、借金を繰り返してしまうことも考えられます。
根本原因であるギャンブル依存症が回復するようにサポートしてください。
具体的には、当事者に治療を促せるように、病院や依存症回復施設の情報を集めるめることが大切です。
依存症当事者のことについて、専門的な相談機関に相談し、相談機関とつながることも当事者に対してできるサポートの1つになります。
②家族が借金を返済しない。本人に責任を取らせる。
当人たちの苦しみに耐えられなくなり、「借金の肩代わりをした方がいいのかしら...」とお悩みになることがあるかもしれません。
しかし、借金の肩代わりを家族がしてしまうと、ギャンブル依存症当事者はギャンブルをやめる機会を失ってしまいます。
非情なことに思えるかもしれませんが、ギャンブル依存症当事者の借金の肩代わりをする必要はないのです。
「私たちは、ギャンブルによってできた借金を返済しないので、自分で解決方法を考えてください」ときっぱりと伝えてください。
③債務整理を急がない
当事者たちが治療を始め、徐々に回復している時、あなたは「このまま一気に債務整理したい」と思うかもしれません。
しかし、過度に彼らをせりたてないように気を付けて下さい。
利子の問題で借金の返済に急がなければという、はやる気持ちもあるかと思います。
人によってはヤミ金に既に手を付けている場合もあり、そうした場合は尚更かもしれません。
しかし、彼らのペースを超えて借金の返済を促せば、当事者たちが無理な手段でお金を手に入れようとする気持ちを助長してしまうかもしれません。
その結果、むしろ返済期間が長くなってしまうことも考えられます。
もし借金の問題で悩んでいるのであれば、ぜひ積極的に専門の機関等を頼って下さい。そして、自分達で問題を抱え込まないで下さい。
家族側は、当事者たちの回復のペースに合わせて見守ってあげることが大切です。
④安易に保証人にならない
消費者金融がギャンブル依存症当事者がした借金を、その家族に対して肩代わりするように取り立てがくるケースもあるかもしれません。
しかし、家族は保証人でない限りは返済義務はありません。自分自身やあなたの周りの人を守るためにも安易に保証人にならないでください。
安易に保証人にされてしまわないように、実印や印鑑登録のカードなど重要なものはギャンブル依存症当事者に勝手に使われないように常に持ち歩くことも有効だと思います。
3. まとめ
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回はギャンブル依存症で借金をしてしまった当事者に対してどんなサポートができるのか一緒に考えてきました。
これまでの内容を整理します。
- ①ギャンブル依存症は、自分でギャンブル等をしてしまうことをコントロールができなくなる精神疾患の1つです。
- ②ギャンブル依存症になった人は、その症状のせいで借金をしてまでギャンブルにのめりこむ可能性があります。
- ③ギャンブル依存症で借金をした当事者に向けて、家族は借金の肩代わりをしない、債務処理を急がないなどができるでしょう。
私たちヒューマンアルバでは、ギャンブル依存症はもちろん、様々な依存症の回復プログラムを提供しています。
依存症当事者はもちろん、そのご家族のケアも進めながら、関わる人たちが少しでも生きやすくなれるようにサポートします。
どんな些細な悩みでも構いません。ぜひ一度ご連絡ください。
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参考:
・西川京子 (2013) 『知っていますか? ギャンブル依存 1問1答』解放出版社
・大谷信盛 (2015)ギャンブル依存者のタイプ分類と公共政策-グループ属性から効果的な依存 問題対策を導く試み― 大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要 第17号
・高橋英彦・鶴身孝介・藤本淳(2017) ギャンブル依存症の神経メカニズム Translational Psychiatry
ライター名: 木原彩