アルコール依存症ってどの病院に行けばいいの?|病院の探し方や治療内容について
「夫や妻がアルコール依存症かもしれない...。」
「お酒をやめさせたいけど、どうすればいいか分からない。」
「アルコール依存症ってどんな病院に行けばいいの?」
現在、日本国内には80万人以上のアルコール依存症の患者がいると言われており、その予備軍も含めると約440万人にもなると推定されています。
この記事では、アルコール依存症の病院の探し方について、実際の治療内容や治療への踏み出し方についても触れながらお伝えしていきたいと思います。
アルコール依存症の回復には医師や専門家を始めとした第三者の協力が必要不可欠です。
お読みの皆さんに少しでも解決の糸口を提供できれば幸いです。
目次
1.アルコール依存症の専門病院ではどんな治療が受けられるの?
「アルコール依存症って病院で治るの?」と不安に思われる方々もいるかと思います。
一度アルコール依存症になると、再び自制して飲酒することは難しいと考えられています。
しかし、「断酒の継続」をしていくことで健康的な生活を取り戻し、社会復帰をすることは十分に可能です。
ここではまず、アルコール依存症の治療方法について紹介していきたいと思います。
①入院療法
入院療法とは、約2ヶ月半~3ヶ月の入院期間を通してアルコール依存症の治療を行い、退院後も持続可能な断酒生活を目指していくものです。
「離脱症状によって日常生活に支障が出ている」
「認知機能の低下等により自分で考えて行動出来ない」
「家族との距離を置く必要がある」
上記のような症状をお持ちの場合、この入院療法が一般的です。
入院療法では、まず最初の2週間~3週間を通して解毒治療を行なっていきます。
ここでは断酒による離脱症状を安全に管理し、断酒のリハビリテーションに向けて心身の健康を回復させます。
解毒治療を通して体調が落ち着いてきたら、その後の7週間〜8週間を通してARP(アルコールリハビリテーションプログラム)を行っていきます。
ARPとは勉強会や精神療法、集団活動プログラムといった様々な活動を通して飲酒に対する考え方や行動を見直していく治療です。
アルコール依存症に関する正しい知識だけでなく、集団行動による協調性なども育みます。
入院療法ではこのような治療プログラムを通して、退院後も持続可能な断酒生活と健康的な日常生活を目指していきます。
②薬物療法
日常生活に大きな支障が出ていない方には、通院による薬物療法という選択肢もあります。
薬物療法には大きく分けて抗酒薬と抗酒補助薬という2種類があります。
抗酒薬とは、飲酒した時に頭痛や吐き気、動機といった症状が出るようになる薬で、「アルコールを受け付けない体質」にするものです。
代表的なものにはシアナマイドやノックビンというものがあり、服用することで自ら「飲酒したくない」と思うことができます。
一方、抗酒補助薬とは脳の中枢神経に作用して「飲みたい」という衝動を抑える薬です。
代表的なものにはレグテクトやアカンプロセートといったものがあり、抗酒薬ほどの強い作用は期待できませんが、十分に禁酒をサポートする効果があります。
③心理療法
心理療法とは、精神科医や臨床心理士との話し合い、カウンセリングを通して飲酒に対する考え方や行動を見直し、断酒の継続をサポートするものです。
ここでは代表的な心理療法である認知行動療法と自助グループについて簡単に説明していきます。
認知行動療法
認知行動療法とはお酒に対する考え方や行動を自分自身で見直す治療方法です。
アルコール依存症の患者は、自身の飲酒問題を過小評価したり、正当化したりする傾向があり、これらの偏りを自分自身で見直すことで禁酒を目指します。
また、認知行動療法によって、依存症当事者がもともと抱えていた悩みや生きづらさを解消出来ることもあり、より本質的な解決が期待できることもあります。
自助グループ
自助グループとは、実際に回復を目指している依存症当事者たちが集まり、自身の悩みを共有したり、互いに励まし合うことで禁酒のサポートをするものです。
アルコール依存症の治療は一人では困難であり、家族や医師を始めとした周囲の方の協力が不可欠だと考えられています。
そのため、自助グループで同じ苦しみを抱える仲間と交流することは、依存症当事者の精神的な支えとなり、禁酒の継続を手助けします。
2.アルコール依存症の病院の探し方
アルコール依存症の治療を行う医療機関は、一般病院と専門病院の主に2種類存在します。
一般の総合病院の場合、精神科もしくは心療内科となることが一般的ですが、専門病院では依存症に特化した治療が行われています。
それぞれの病院について探し方をご説明します。
①一般病院
一般病院を探す際は、病院総合検索サイトを利用したり、地域の保健所や精神保健福祉センターなどで相談をすることにより、お近くの病院を紹介してもらうことができます。
参考:病院総合検索サイト 病院なび,全国精神保健福祉センター
②専門病院
専門病院を探す際は、「独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター」のホームページに記載されているリストからも検索することができます。
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターは、アルコール依存症対策などの全国的な拠点機関として厚生労働省に指定されている機関です。
参考:アルコール健康障害・薬物依存症・ギャンブル依存症 全国医療機関/回復施設一覧リスト
3.アルコール依存症の当事者を説得するためには
アルコール依存症は「否認の病」と呼ばれ、依存症であることを本人が認めたがらない病気です。
そのため当事者が病院に行きたがらないケースが多くあり、治療を始めるためには家族の協力が不可欠だと考えられています。
ここでは依存症当事者を説得するために、ご家族の皆さんに何ができるかを紹介していきます。
依存症当事者が治療に踏み出す援助の方法としてCRAFTというものがあります。
CRAFTとは「Community Reinforcement And Family Training(コミュニティ強化法と家族トレーニング)」の略です。
治療を拒む依存症当事者へアプローチするために、依存症当事者ではなく、まずは依存症当事者の家族に介入しようとするプログラムです。
このプログラムは、家族の行動や考え方を変えていくことで、当事者を治療へと繋げていきます。
また、依存状態の軽減や家族自身の苦痛の解消なども目指しており、以下のようなプログラムが提供されます。
①依存症の家族や周囲者のモチベーションを高める
②依存症当事者の行動上の問題の機能分析をする
③家庭内暴力の予防措置の考案
④家族のためのコミュニケーションスキルを鍛える
⑤慎重な使用の正の強化
⑥物質使用行動のためのネガティブな結果の使用
⑦依存症当事者の家族(周囲者)がそれぞれの人生を生きる
⑧依存症当事者へ治療を勧める
当事者が治療へと踏み出せるよう説得してあげるためには、ご家族としっかりとした信頼関係が築かれている必要があります。
そのためには当事者とのよりよいコミュニケーションが必要不可欠になります。
そのためには依存症当事者が何を考えているのかをしっかりと理解し、相手の気持ちに寄り添いながら、ご家族の素直な気持ちを伝えなければなりません。
CRAFTは当事者とご家族の気持ちをつなぐために一つのアプローチです。
4.まとめ
今回はアルコール依存症の病院の探し方について、治療内容から連れて行く際の注意点にも触れながら紹介させていただきました。
改めてアルコール依存症の病院についてまとめると以下の通りです。
- ①アルコール依存症には入院療法や投薬療法、心理療法といった治療をしてもらえる。
- ②病院には一般病院と専門病院があり、検索サイトや病院一覧から探すことができる。
- ③依存症当事者は治療を拒むケースがあり、病院に行くためには家族の協力が必要不可欠。
アルコール依存症の治療機関やその治療方法は以前に比べて非常に進歩してきています。
もしご家族に依存症の疑いがある場合、今回ご紹介した検索サイトや病院一覧を参照の上で、まずはお近くの病院や専門機関に相談してみてください。
私たちヒューマンアルバでも依存症について無料で相談を承っています。
今回の記事がアルコール依存症で悩むご家族の皆さんの助けとなれば幸いです。
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参考:
・アルコール依存症に対する家族の効果的な対応の仕方|社会医療法人あいざと会
ライター名: 田中瑞樹