2019/01/12

『ネット依存』にならないために|自分や家族のための対策方法

パソコン操作 女性

電車やバスなどでの移動時間中、皆さんは一体何をして過ごされているでしょうか?

以前は、新聞を広げるサラリーマンや窓から見える景色を楽しむ人たち、あるいは広告をボーっと眺める人たちをよく見かけました。

満員電車の中で新聞を広げられると、さすがに戸惑うこともありました。

それでもたまに私自身も横目でチラ見したりなどして、当時の光景を非常に懐かしく感じています。

そうした光景を目にすることは、最近では本当に少なくなりました。

代わりに多くの人たちがスマートフォン(以下、スマホ)の画面を注視しているのを目にします。

ゲームやSNS、ネット記事や動画など、皆それぞれ違った活用をしていますが、スマホを片手に持っている点では共通しています。

最近では決済などもスマホでできるようになり、私たちの生活はますます小さな機械に頼ることが増えています。

しかし、そうした利便性の一方で、「ネット依存」という現代ならではの社会問題が国内外問わ関心を寄せられています。

厚生労働省の研究班が2017年に行った調査では、インターネット依存と疑われる中高生の数が93万人にのぼると推計されています。

そして実際にはもっと多くの生徒がネット依存の可能性があるとも考えられています。

スマホの有用性に疑いはありませんが、スマホやパソコンなどを介したインターネット利用の「負の側面」に関しては、まだまだ十分に取り上げられていません。

今回は「ネット依存」の特徴とその予防策についてお伝えしていきます。

「私たち自身の身を守るためには何ができるのか」

「家族を『ネット依存』から守るのに何が必要なのか」

一緒に考えていきたいと思います。

※この記事では「インターネット依存症」のことを「ネット依存」と表記しています。

目次

1.「ネット依存」とは

ネット依存とは、インターネットを介したやり取りによって日常生活に支障が出てしまう疾患のことを指します。

ネット依存症の特徴として気づいたら何時間も時間が過ぎていたなどの体験が挙げられます。

ただし、れっきとした病気の1つなので「個人の意思でコントロールする」といった解決はほぼ不可能です。

一般的に、専門の医療機関や施設、自助グループなどで治療プログラムを受けていくことが回復のために必要だとされています。

「ネット依存」と言われると、どうしても「中高生の問題」という捉え方をされがちですが、昨今では主婦やビジネスマン、中高年の方々などもネット依存症と診断されています。

ネット依存は大きく3つのタイプに分けることができます。

「コンテンツ依存」「つながり依存」「ゲーム依存」の3タイプです。

【コンテンツ依存】

長時間にわたってネット上の書き込みや動画サービスに時間を費やす場合に生じる依存症です。

適度に楽しむ分には問題はありませんが、長い間そうしたコンテンツに触れていると自分の意思でやめることが難しくなっていきます。

【つながり依存】

SNSなどのネットを介したコミュニケーションの過度によって形成される依存症です。

SNSとはSocial Networking Service(=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略です。

代表的なものにTwitterやLINE、カカオトークなどが挙げられます。

最近では、部活動での連絡や学校行事の決めごとなどにも、こうしたSNSが活用されているケースが多いです。

そのため、中高生や大学生に多いのが特徴です。

【ゲーム依存】

ゲームはスマホやパソコンが登場する以前からありました。しかし最近では、オンラインゲームが主流になっています。

ゲーム依存もオンラインゲームを通して罹患するケースが大半です。

オンラインゲームには、スマホで遊ぶものからパソコンやゲーム機器を利用してプレイするものまで様々な方法が挙げられます。

こうしたゲームは常にアップデート、つまり新しいストーリーなどが更新され続け、ゲームをする人たちは際限なく、そしていつまでも飽きずに同じゲームを遊べてしまいます。

こうしたことが「ゲーム依存」を生み出す大きな原因とも考えられています。

2.気づきたい「ネット依存」の兆候

ネット依存になる前に見られる兆候、サインはあるのでしょうか。

依存症の研究は昨今、少しずつ知見がたまり、効果的な治療方法なども徐々に現れ始めています。

しかし、依存症になりやすい人の特徴や性格に関しては、まだまだ不明点も多いのが実状です。

この記事では、『脱ネット・スマホ中毒 ver.2.0』で挙げられていた「依存症になりやすい人の特徴」の部分から、一部言葉を書き換えご紹介します。

脱ネット・スマホ中毒 ver.2.0』では、依存症になりやすいと思われる人の特徴として、

・同調圧力に弱い

・人付き合いが苦手、好きではない

・やさしい、まじめな性格

・承認欲求が高い

・将来の夢や目標が特にない

などを挙げています。

ネット依存症が疑われる場合には、上記項目に照らし合わせながらチェックしてみましょう。

ご家族の状況観察してみるのも1つの方法かもしれません。

状況次第で判断が中々難しい場合もあるかと思います。

もしお困りの場合は、ぜひ依存症専門の機関にご相談ください。(私たちもご連絡お待ちしております。)

次にネット依存症の兆候についてですが、

「スマホゲームを何時間も遊んでいる」

「食事中もスマホから手が離せない」

「最近、生活習慣が乱れている」

などが挙げられます。

こうしたチェック項目はご自身で判断していく場合がほとんどですが、確認の際は家族や友人など客観的な判断にも積極的に頼りましょう。

依存症の場合、チェック項目を自分に都合の良いよう解釈してしまう可能性も考えられるからです

いろいろな方の意見に耳を傾けながら、ご自身あるいはご家族の状態について判断してみてください。

ネット依存のチェック方法は他にも、久里浜医療センターの診断リストが参考になります。

こちらも合わせてご活用ください。

3.依存症にならないために 傾向と対策

ネット依存に限らず、依存症対策では「予防」が重要です。

依存症になってからの回復プログラムも広く各専門機関で提供されていますが、そもそも依存症にならないための対策も欠かせません。

ここで紹介する予防策はわずかですので、私たちのサイト内にある別コラムやその他、各依存症の専門機関が運営しているホームページも合わせてご覧ください。

この記事で紹介したいネット依存対策は、以下の3点です。

①情報収集

②ルール作り

③リアルでの居場所構築

1つ目の情報収集は、スマホ依存に関する情報集めのことを指します。

最近では、書籍や論文などに限らず、ネットでも依存症に関して多くの有益な情報を得ることができるようになっています。

マンガや動画など読みやすく工夫された媒体も増えています。

少し紹介すると、文部科学省が動画共有サービス、Youtubeにアップしている2つの動画はネット依存の知識を深めるうえで非常に役に立ちます。

教材① ネット依存(小5~中1)ネットゲームに夢中になると... 全編

教材② ネット依存(中2~高3)身近にひそむネット依存 全編

ネット依存とはどういうものなのか、その特徴や仕組みについて要点を押さえていないと対策を練ることができません。

ネット依存症という病気を理解し、自分にあった生活習慣を身につけましょう。

2つ目のルール作りに関しては、親や兄妹、パートナーとお互いに時間を設定するというものです。

1人でコントロールしようと思っていても、気がつくと思っていた以上に時間が過ぎていたということは珍しくありません。

家族間であらかじめルールをつくり、それを皆で実践するようにしてはいかがでしょうか。

子供がネット依存症になった時、家族全員でネットに繋がらない団らんの時間を設けるという対策をとった結果依存症を克服した例などもあります。

守らなければいけないルールを作ることで責任感や内省、実生活でのコミュニケーションの機会を生み出すことができます。

留意点として、ルールを守れなかった場合でもそのことに関して責めることは控えてください。

あくまで辛抱強く、建設的になぜ守れなかったのかなどを分析していくことが早い回復、予防に繋がります。

3つ目は、リアルでの居場所づくりです。

ネットの使用が増えると、どうしても自分たちの世界狭めて考えてしまいがちです。

特定のサイトの情報を鵜吞みにした結果、意見を先鋭化させたり、1つのグループ内での人間関係を過剰に重要視することで、周りが見えなくなるという事例が聞かれます。

しかし一度ネットから離れれば、家族や近所との付き合いなど身近な場所にも繋がりがあることに気づきます。

家族や周りの友人との折り合いが悪い人もいるでしょう。

そうした時は、私たちの施設や学校の保健室など距離が近すぎない、しかし当人のことを考えてくれる場所を探してみてください。

約3年程前、鎌倉市図書館がTwitterに投稿した内容が話題になりました。

「自殺を考えるほど悩んだら、学校休んでいらっしゃい」ツイートした鎌倉市図書館が、今伝えたいこと(2017.06.01)HUFFPOST

公的な機関でも、身近なところにリアルな居場所を見つけることができます。

もし人間関係に悩みネットの世界に閉じこもりたくなった時、特定のチャットグループでのやり取りから抜けられずに困っているとき、手を差し伸べてくれる組織が徐々に可視化されるようになってきました。

そうした施設やコミュニティに関する情報を集め、自分(あるいは家族)の存在を認めてくれる場所を実生活の中でも見つけてみてください。

私たちの施設には日々、人間関係のトラブルや家庭の事情など、様々な境遇から「生きづらさ」を抱えてきた人たちからの相談が寄せられています。

私たちはそうした声を真摯に受け止め、彼らのためにできることに取り組んでいます。

今この記事を読んでいる、あなたからの声も例外ではありません。

お悩みやご相談があれば、ぜひご連絡ください。

4.まとめ

今回は、ネット依存症の特徴とその予防対策についてお伝えしていきました。

内容をまとめると、以下のようになります。

  • ①ネット依存には「コンテンツ」「つながり」「ゲーム」の3つのタイプが存在する。
  • ②依存症になりやすい人の特徴を理解し、日頃から意識していくことが大切。
  • ③ネット依存にならないために、家族や友人、外部の組織を頼ろう。

私たちヒューマンアルバでは、ネット依存症の相談や悩みはもちろん、1人ひとりに沿ったケア、サポートを心掛けています。

ささいなことでも構いません。

お困りの場合は、ぜひご連絡ください。

お問い合わせはこちらから↓

社名: 株式会社ヒューマンアルバ

住所: 〒214-0038神奈川県川崎市多摩区生田6-4-7

TEL: 044-385-3000 (受付時間: 平日10:00-17:00)

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会を開催しております。

依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

・つらい思いを吐き出す場として

・状況を変えていく学びの場として

ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)

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参考:

・遠藤美季『脱ネット・スマホ中毒 ver.2.0』(2017)誠文堂新光社

ライター名: ブランコ先生