2019/01/04

ゲーム依存症の家族だった私の気持ち|あなたも元気でいて下さい

「息子がゲーム依存症です。私の育て方が悪かったのでしょうか?」

「夫がネットゲームにハマり、ゲームばかりしています。」

2008年の大規模調査で日本にネット依存の成人は約271万人いると推定されています。

また、中高生においてネット依存の中高生は51万8000人と言われています。

ゲーム依存になるきっかけとして、「孤独感」や「むなしさ」などがあり、ゲームをしている人なら誰しも起こりうる可能性があります。

ゲーム依存症になった当事者の家族は「罪悪感」「喪失感」「疲労感」を抱えていることでしょう。

私が以前「依存症当事者の家族」だった時も、これらの感情を常に持っていた気がします。

この記事では、ゲーム依存症の家族のあなたにゲーム依存症の家族だった私の体験談と私の体験から感じたことをお伝えします。

当事者だけでなく、家族側のあなたの気持ちが少しでも軽くなることを願っています。

目次

1. ゲーム依存症者と「家族」の関係

ここから、ゲーム依存症と家族というテーマでお話していきます。

ゲーム依存症に限らず、依存症は「家族の病」と呼ばれています。

そのため、依存症当事者だけでなくその家族も巻き込んでしまうことがあります。

依存症当事者の家族は様々な面で、依存症当事者をケアします。

例えば、依存症当事者のサポートをするために、「今日は旦那は会社を休みます」と連絡をし、ウソをつかなくてはならないかもしれません。

また、ゲームを取り上げた際の暴力が怖く、つい許してしまうケースもあります。

これらは「共依存」と呼ばれ、依存症当事者の行動を助長してしまう行為です。

共依存により、だんだんと疲弊していく家族もいるでしょう。

「学校(会社)を休みます」と連絡することで、周囲から叱責や、冷たくされる当事者家族もいらっしゃるかもしれません。

周囲も、依存症当事者が苦しんでいることが分からなければ、「どうせさぼりだろう」と当事者を誤解し、結果的にその家族にも冷たく対応してしまう可能性があります。

当事者を大切に思いつつも、「どうして自分はこんなことをしているんだろう」という気持ちが積み重なるかもしれません。

「今日でゲームは最後だから」「明日から勉強するから」と話す子どもが約束を破るとき、悲しくなるかもしれません。

「子どもの何を信じればいいのだろう」と苦しく感じることもあるでしょう。

2. 当事者家族だった私の気持ちと願い(体験談)

ここからは実際の体験談をもとにお話しさせていただければと思います。

私は「ゲーム依存症当事者の家族」だった経験があります。

その時の罪悪感や無力感は忘れられませんし、「自分なんか生まれてこなければよかったのでは?」と思い悩んだことも一度や二度ではありません。

当時の私の気持ちを、皆さんと一緒に振り返っていきたいと思います。

家族がゲーム依存症を発症した|悲しみが家族に広がっていく。

数年前、私が地元を離れ地方に住んでいるとき、私の家族が依存症になったと伝えられました。

母は「こんなことならゲームなんて買わなければよかった。あの子は学校もやめちゃったの…」と嘆いていたことが忘れられません。

弟は進学校の勉強についていくことへの過度なストレス、部活動での人間関係や家族関係の中での疲労感やすれ違いから不登校になり、ゲーム依存症になります。最終的に学校をやめてしまいます。

私はゲーム依存症の弟よりも、嘆いている母が心配になりました。

弟の近くに住んでいる祖母が

「あの子が苦しんでいるのに、私が 楽しんでいいのだろうか?」

と悩み、祖母は弟が元気になるまで、楽しみを一切捨てて笑わないと決め、祖母は笑顔を捨てました。

(弟が社会復帰をしたため、現在は祖母も元気に過ごしています。)

そんな家族の様子を心配に思い、私は実家に帰り、実家から会社に通えるように進路を変更しました。

もともとは将来の夢をかなえるために試験勉強の最中でしたが、その勉強を中止し就職活動をしました。

そして、私は自分の夢を捨て実家に戻る決意をしました。

嘘をつき続ける弟と弟と向き合う母との間で|罪悪感と無力感

社会人として働く中で、家で弟と母が苦しんでいました。

私は母の話を聞くなどして何とか家族の力になりたいと願っていました。

しかし、母は「あなたは仕事があるんだから、そっちに集中しなさい。私は大丈夫だから。」と一人で抱え込みがんばっていました。

弟はもともと優しい性格もあり、離脱症状になっても人を殴るなどの行動はありませんでした。

しかし、離脱症状になると、壁を殴るなどの行動や、うつ状態になり部屋にひきこもりました。

そんな弟を母は心配し続け何とか会話をしようと話しかけたり、彼の好きなものを作ったり、母なりに必死に寄り添おうとしていました。

弟は「音ゲーム」をはじめ、様々なゲームに触れていました。

なので、家でゲームをするだけでなくゲーセン(ゲームセンター)などでゲームをすることもありました。

お金が必要で母に「参考書が必要だから」といい、お金をもらおうとしたり、ゲームセンター代のために食費を浮かしたり、歩くなどして交通費を浮かし、ゲームに使っていました。

もともとは友達も比較的多く優しく賢い弟でした。

しかし学校をやめ、ひとりでゲームをしている様子を見て、「自分のせいだったのでは?」「なんでそばにいても力になれないんだろう...」と悲しくなりました。

そんな家族それぞれの苦しみに触れながらも何もできない自分に対して悲しくなり、罪悪感を感じながら過ごしていました。

「昔の自分」が弟を傷つけていたと知った|「自分は生きていていいのだろうか」

実家に帰りしばらくして、弟が「仲の良い家族がよかった」と言っていたと私は母づてに聞きます。

確かに弟が幼少期の頃から私たちの家族は表面上は何の問題もない家族に見えますが、その中に、様々な葛藤が渦巻いていました。

私自身が母と幼少期はうまくいっておりませんでした。

母の過度な心配からの過干渉や、私が不登校の際に母と私がギスギスした空気だったことなどが相まって弟はずっと家族の中で我慢をしていたのです。

弟は、母や姉に遠慮し、自分の自己主張やわがままを我慢していました。

例えば私が不登校だった当時は「お姉ちゃんもつらいし、それにお母さんをこれ以上困らせてはいけない」と思い、自分の気持ちを我慢したそうです。

自分は依存症で苦しんでいる今も力になれないばかりか、過去もずっと傷つけていたのだ。自分の存在が誰かを傷つけうる可能性があることに気が付きます。

「自分がいなくなれば、弟は元気になるのだろうか...」

そんな思いから次第に私も家に帰るのが怖くなります。

私は最終的に実家の近くに家を借り一人暮らしをします。

母の愛と弟の頑張り

家族が彼にとって癒しの場所でなかったことを私は自責し、結局何もできませんでした。

しかし、母は最後まであきらめませんでした。

「依存症」と書かれた本を買い続け、おそらくトータル100冊程度は読みました。

ネット等を駆使し、依存症の治療を調べ、弟に合いそうな病院やカウンセリングルームがあればそれをリスト化し弟に伝える準備をしていました。

弟に寄り添い続けたのです。

弟がどんな気持ちでいるか知りたいと願い、弟のゲームばかりの行動も頭ごなしに否定せず寄り添い続けました。

すると少しずつですが、弟はゲーム目的以外にも外出できるようになります。

そして、母の「最近視力とかも悪くなってるし、あなたの身体が心配なの。一度検査してみない?」という言葉をきっかけに弟は病院を受診します。

ゲーム以外の目的で外に出ることは彼にとって大きなストレスだったと思います。

それにも関わらず、母の言葉に病院に行く決意をした弟はその後、依存症治療を始めます。

その中で、主治医だけでなくデイケアのスタッフや同じような当事者との出会いを通して少しずつ弟は元気になっていきます。

母が弟に寄り添い続けたこと、そして弟を支えるたくさんの力のおかげで弟は社会復帰をしました。

彼は臨床心理士やカウンセラーにお世話になることがありました。

私の母も、弟とのかかわりや自分自身と向き合うためにカウンセリングを受けていました。

私たち家族はたくさんの人に支えられて依存症を克服したのです。

「弟に何もできなかった自分」ができることを考えて|将来の夢を再び追う決意

私は結局弟の力になれなかったと自責する中で、そんな自分だからこそ、何かできることがあるのではないかと気が付きました。

そして誰かの力になりたいと願いを持つようになりました。

弟は様々な要因が重なり社会復帰ができましたが、その道は過酷な道のりでした。

社会人の間に「家族の中で葛藤する人」と多く出会う中で、「悩んでいる当事者の近くにいる家族の力になりたい」と願いを持つようになりました。

苦しんでいる当事者や家族の力になりたいと感じました。

彼も、もしかしたらもっと暖かな家族の中で幼少期を過ごせれば、依存症になるまで悩まなかったのではと思っています。

そのため、家族が幸せでいること、暖かい空気の中で子どもたちが育てることで、「生きづらさ」を抱える人は減っていくのではないかと感じ、大学に進学する決意をしました。

今私は「人の心に寄り添える人になりたい」と願い臨床心理士を目指し、臨床心理学を学んでいます。

3. 当事者家族にお伝えしたい3つのこと

いかがだったでしょうか?

依存症は何かの生きづらさを元に発症しますが、第三者の助けで克服できる病でもあります。

最後に、ゲーム依存症の家族に向けてお伝えしたい3つのことがあります。

依存症の知識を手に入れてください。

依存症は1つの精神疾患です。

ゲーム依存症も2018年に精神疾患の1つとして認定されました。

ゲームをやり続けてしまうのも、やめられないのも本人のわがままや甘えではなく、病気なのです。

依存症の知識を手に入れることで、当事者の気持ちを察することができるでしょう。

依存症の知識や依存症当事者が利用できるサービスなどを知ることで、依存症当事者が「依存症を克服したい」といった際に治療にスムーズに入れるでしょうでしょう。

過去のことを考えすぎず、「どうすればいいのか?」考えてください。

依存症になって当事者や家族はたくさんのものを失うかもしれません。

例えば、お金や時間、人間関係などです。

また、過去のある出来事がきっかけとなって依存症になってしまうこともあるでしょう。

「あの時こうしてたら」と悩むことがあるかも知れません。

しかし、過去のことを悩みながらも「それでもどうしていけばいいのか?」と考える心の余裕をもてるとよいでしょう。

私は「弟に何もできなかった、傷つけてしまったかもしれない」と自責しましたが、母は自責しながらも「どうすればいいのか?」を考え続けました。

どうすればよいのか考え行動することが、当事者をより楽に生きられる手助けになるのだと知りました。

とはいえ、1人だけ、もしくは家族だけで悩む必要はありません。

もし何かあれば弊社でも無料相談を行っております。

お気軽にご相談ください。

依存症の家族のあなたも元気でいてください。

最後に家族のあなたも元気でいてほしいです。

依存症の家族は当事者を見て、「自分は幸せでいていいのだろうか?」と悩み葛藤するかもしれません。

「もしかしたら自分のせいで当事者は苦しんでいるのではないか?」と思われたことはないでしょうか。

依存症当事者と日々関わる中で、何度もつらい思いをしたこともあるでしょう。

しかし、依存症になるのは誰のせいでもありません。

また、本当の意味で依存症当事者の「心の支え」になりうる可能性は「家族」であるあなたが持っているのだと思います。

あなたが疲弊し続けることで、依存症当事者もさらに苦しむ可能性があります。

だからこそ、あなたに元気でいてほしいのです。

我慢し続けた苦しみや悲しみを癒すために時間を使ってください。

例えば、「おいしいものを食べる」「きれいな音楽を聴く」「自然の中で深呼吸をする」など、あなたが心地よいと思えることをしてください。

そして、そのためにも(自分たちが元気でいるためにも)ぜひ依存症専門の施設などを活用してください。

4. まとめ

①ゲーム依存症は依存症当事者だけでなく、そのご家族も苦しめます。

②当事者家族は、自分のためにも当事者のためにも依存症の情報を集めてみて下さい。

③まずは、ご家族一人ひとりが元気でいることが大切です。

ゲーム依存症は心の病です。

ゲーム依存症当事者は依存症になる前もなった後も苦しみ、そして、依存症の家族も苦しみます。

しかし第三者の力を借りることで依存症を克服することができるでしょう。

私たち、ヒューマンアルバは依存症回復に向けた無料相談を行っています。

依存症当事者やその家族を経験したスタッフが、一人ひとりに寄り添った対応を行なっています。

・家族がゲーム依存症で、もうつらいです。

・ゲーム依存症の子は今どんな気持ちなんでしょう?

どんな小さなお悩みも、あなたの意見を尊重しながら、回復に向けて共に歩んでいきます。

お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから↓

社名: 株式会社ヒューマンアルバ

住所: 〒214-0038神奈川県川崎市多摩区生田6-4-7

TEL: 044-385-3000 (受付時間: 平日10:00-17:00)

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会を開催しております。

依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

・つらい思いを吐き出す場として

・状況を変えていく学びの場として

ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)

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参考:

河﨑貴一 「ネット依存症」現状と対策 スマホ・オンラインゲーム・LINE...「日本と韓国」急増する ネット依存者の実態(2013)ヘルシスト

ライター名: 木原彩