依存症家族を説得する5つの方法|CRAFTってご存知ですか?
依存症は「生きづらさ」から発症する心の病です。
生きづらさを解消するために特定の物質(または人や行為)に頼りすぎてしまったのが、依存症の原因かもしれません。
ご家族の中に依存症の方はいらっしゃいませんか?
依存症は、第三者を頼ることで克服できる可能性の高い病気です。
この記事では、「依存症当事者が治療の決意をするために家族ができること」についてお伝えしていきます。
目次
1. 依存症治療の説得ができない?|「否認の病」依存症とは
家族が「病院に行かない?」と声をかけても、「俺は依存症じゃない、いつでもやめられる!」と当事者が強く否定することは珍しくありません。
依存症は「否認の病」と呼ばれます。
「アルコールは体にいいんだ! 飲んだって問題ない。」
「アルコールなんていつだってやめられるんだから、ちょっとくらい大丈夫。」
家族がいくら説得しても、当人から否認されてしまう可能性があるのです。
どうすれば家族の気持ちは届くのでしょうか?
2. 依存症家族への説得のコツ(CRAFT)
依存症者の家族が、当事者を説得する方法として「CRAFT」があります。
CRAFTは『コミニティー強化と家族トレーニング』と言われています。
家族や周囲者が依存症当事者への関わり方を変えることで、本人との関係性を変え、当事者がより良い選択やより良く生きられるよう、サポートするコミュニケーション技法です。
CRAFTでは、いくつかの特徴的なコミュニケーション手法が存在します。
①「私」を主語にした言い方
「私は○○だと思う」といったコミュニケーションをすると、自分の意見を伝えやすくなります。
また、受け取り手も自分が何をすれば良いのか分かりやすくなります。
具体例を挙げてみましょう。
「あなた、飲みすぎよ」と当事者に伝える際、「私」を主語にした伝え方は「私はあなたが飲みすぎじゃないかと心配なの...」となります。
自分が心配しているという気持ちや、相手が飲みすぎていると思っている気持ちが伝わります。
②肯定的な言い方
「○○しなかったら、○○になるわよ」という言葉は相手を責める表現につながる場合もあります。
相手も非難されたり責められることで気持ちが落ち込んでしまい、治療する決意ができないかもしれません。
「お酒をやめないと死んじゃうわよ」も、「今お酒をやめれば、これからも生きていけるわ」にすることで、当事者も治療する気になるかもしれません。
③具体的に言う
曖昧な言い方や抽象的な言い方をしても、自分の意図が伝わらない可能性があります。
「少しは私の気持ちを考えてよ、言わなくても分かるでしょ!」
こうした話し方は、ついついしてしまいがちです。
しかし、受け取り手の方は、自分がどうしたら良いのかわかりません。
具体的にして、望んでいることを伝えましょう。
④簡潔に言う
長く言われてしまうと、当事者も攻め続けられている気がしてしまいます。
短く、簡潔に伝えられないか試してみましょう。
一言、二言が理想です。
⑤支援を申し出る
「相手を心配している」「相手を思っている」という気持ちで、支援を提案します。
「私にできることがあったら力になりたいの」という態度で、治療を受けないか提案してみましょう。
こうしたコミュニケーションを意識することで、格段に依存症当事者が治療を決意できるといわれています。
当事者の家族だからこそ、「このようなコミュニケーションを意識してできるだろうか...」と不安になる気持ちもわかります。
私も「当事者家族」だった経験があるからです。
説得は必ずしも家族だけで行う必要はありません。
「どう切り出せばいいんだろう...。」
「どう説得すればいいんだろう...。」
そんなときは、私たちのような第三者を頼ってください。
CRAFT以外にも、当事者家族の説得が上手くいった方法はいくつかあります。
一部ご紹介します。
・いきなり「病院に行かないとダメ!」とは言わない
→まず「診察を受けてほしい」と話してみる
・病院や治療等の言葉を避け、「相談に行ってみない?」
と提案する
・自助グループ等を勧める際、「試しに行ってみない?」
といった伝え方をする
・絶対にイエスと言わせるのではなく、さりげなく誘っ
てみる
・本人が安心できるような情報を伝える。
これらの説得も、併せて参考にしてみてください。
3. まとめ
- ①依存症は否認の病です。依存症当事者は依存症を認めない場合があります。
- ②依存症の家族を説得するスキルとして、CRAFTの技法をうまく使いましょう。肯定的な表現を増やす、簡潔に伝えるなどの視点を大事にしましょう。
依存症という病気は完治ができません。
しかし、第三者を頼ることで十分回復し、社会復帰できる病気です。
私たちヒューマンアルバでは、依存症回復に向け様々なプログラムを提供しています。
当事者やその家族として依存症を経験したスタッフが一人ひとりに寄り添い対応しています。
・治療を受けて欲しいのに、本人がイヤがります。
どんな小さなお悩みでも構いません。
あなたの意見を尊重しながら、ともに回復に向けて歩んでいきます。
お困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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社名: 株式会社ヒューマンアルバ
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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。
・つらい思いを吐き出す場として
・状況を変えていく学びの場として
ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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参考:
・アルコール依存症に対する家族の効果的な対応の仕方|社会医療法人 あいざと会
・西田美香(2017)地域におけるアルコール依存症の治療や支援の実態及び課題 アルコール依存症に関わる専門職の語りからその対策を考える 九州保健福祉大学研究紀要
・吉田精次『アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法―CRAFT(クラフト)』(2014) アスクヒューマンケア
ライター名: 木原彩