アルコール依存症|断酒のために「抗酒剤」を服用すると?
「旦那がお酒をやめずに欠勤・遅刻しています...。飲酒をやめさせることはできますか?」
飲酒を止めるためには以下の3つの方法が一般的には考えられます。
①抗酒剤を服用すること
②アルコール治療のために通院すること
③自助グループに参加すること
この記事では①の抗酒剤を服用することについてご説明いたします。
今回の内容が、少しでもお役に立てれば幸いです。
目次
1. 抗酒剤とは何?抗酒剤の作用と効果
抗酒剤とは何でしょうか?
抗酒剤とは「毎日服用することによって人工的に『アルコールを全く受け付けない体質』にする薬」のことです。
抗酒薬を服用すると、アルコール飲料を摂取した際に吐き気をもよおしたり、心臓がひどくドキドキしたり、といった状態になります。
つまり、本気でアルコールをやめたいと考えている人にとって抗酒剤はとても強い味方になります。
【抗酒剤の種類と効果】
抗酒剤には、抗酒剤と飲酒欲求を低減させる抗酒補助薬があります。
抗酒剤には「シアナマイド」、「ノックビン」という薬があります。
これらの抗酒剤を使用すると、肝臓の分解機能が1次的に低下し、お酒に弱い体質にします。
そうすることで抗酒剤を服用した後にアルコールを摂取すると、頭痛や吐き気等をもよおし、苦しい思いをします。
このため、アルコール依存症の方も抗酒剤服用後にアルコール摂取することで、「楽しく酔えない経験をします。
この経験の積み重ねにより、「お酒を飲んでも気持ちよくならない、苦しい」と感じ、アルコール摂取を控える可能性があります。
ところが、肝臓に障害がある人や身体に何らかの障害があるアルコール依存症患者に抗酒剤を使用することで、身体を傷つける可能性があります。
必ず医師の処方に従って服用してください。
また抗酒剤ほど強い作用機序はありませんが、抗酒補助薬と呼ばれる薬も存在します。
日本では「レグテクト」と呼ばれる薬などです。
中枢神経系に作用し、アルコール依存症患者の飲酒に対する欲求を抑制する薬を言われています。
脳に直接作用し、アルコールを飲みたいという思いを緩和させる薬です。
こうした薬を使用することで、「アルコールをやめたいけど、どうしても飲んでしまう」という欲求を緩和させます。
2. 抗酒剤の使用する際の注意やポイント
服用する上でいくつかのポイントが挙げられます。
以下の内容はヒューマンアルバの現場スタッフが実際に依存症当事者と関わりながら得た知見です。
ぜひ参考にしてみてください。
▼服用のポイント・注意点
・どの時間に服用しても同じ効果が現れるが、朝起きて
すぐか午前中に服用するのがよい
・抗酒剤の服用期間中は、アルコールを含む料理・菓子
を食べることは避けた方がよい
・2年以上断酒のため、自助グループへの参加も必要
・抗酒剤の服用は、原則1年間の完全断酒を達成できる
ほどになるまで続けた方がよい
アルコール依存症を克服するためには、抗酒剤だけでは十分ではありません。
通院し認知行動療法を受ける、自助グループに通う等いくつかの治療を組み合わせることが大切です。
3. まとめ
- ①抗酒剤とは「毎日服用することによって人工的に『アルコールを全く受け付けない体質』にする薬」です。抗酒剤には「シアナマイド」、「ノックビン」という薬があります。
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②抗酒剤を使用することで、アルコールをやめたいけどやめられない気持ちを緩和させるでしょう。通院や自助グループと併用しながら使用することで、依存症克服の手助けとなります。
アルコール依存症は心の病気です。
依存症当事者は、依存症になる以前から、孤独感や生きづらさを抱えていたのかもしれません。
そうした気持ちから逃れようとアルコールに頼ってしまった可能性があります。
アルコール依存症を克服する際には、単なる治療だけでなく、抱えていた心の問題も解決していく必要があります。
当事者の心のケアはあなた一人、あるいはご家族だけで解決できる問題ではありません。
第三者を頼り治療を進めていくことで、徐々に克服できるようになります。
私たちヒューマンアルバでは、アルコール依存症だけでなく様々な依存症の治療プログラムを提供しています。
当事者やその家族として依存症を経験したスタッフが、一人ひとりに寄り添い対応しています。
どんな小さなお悩みでも構いません。
あなたの意見を尊重しながら、ともに回復に向けて歩んでいきます。
ぜひ一度ご相談ください。
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社名: 株式会社ヒューマンアルバ
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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
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・つらい思いを吐き出す場として
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ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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参考:
・藤野京子, 鷲野薫, 藤掛友希 他『薬物離脱ワークブック』(2017)金剛出版
・アルコール問題相談対応リーフレット|長野県精神保健福祉センター
ライター名: 木原彩