アルコール依存症における「渇望現象」をご存知ですか?
依存症者に訪れる「渇望現象」をご存知ですか?
依存対象物を摂取してしばらく経つと、アレルギー的反応として発生する渇望のことを身体依存としての「渇望現象」と呼びます。
これは「変えられないもの」の象徴として扱われています。
そもそも依存症は、「精神の渇望」と「身体の渇望」に分かれますが、アルコール依存症は精神の方になります。
渇望現象は、本当に厄介なものです。
「1回だけなら飲んでも良いのではないか」と思ってしまうんです。
でも現実は、その1杯がダメなんです。
1杯飲んだら、2杯、3杯...と飲みたくなっちゃうんです。
依存症者は飲んだ分だけ、気持ちが大きくなってしまいます。
そして最終的に、3つの道を辿ると言われてます。
①ブラックアウト
②刑務所
③死亡
一般的には①の着地が一番良いと言われています。
けど、ここまで落ちる着地が一番良いとされる現状って、おかしいですよね。
誰しも最初はそこに着地するんですが、誰もが通る道ゆえに、底つき感の自覚が弱くなるんです。
依存症者本人にとっては「あいつもなってるし、俺もなってるけど別に大丈夫だろ」的な考え。
だからこそ、回復に導いていくのに一番大事なのは「じゃあ、刑務所に行くフェーズまでいかないと本人に自覚させられないのか」という問題意識です。
「回復の道にのせるために、本当にそれしか方法はないのか」っていうのが業界の課題です。
そこまでたどり着く前に、いかにその周りの家族に働きかけて導いていくかというのが、私たちの課題です。
「底つき」させてしまうっていう理論が、ここ10~20年、全然変わってないんですよね。
しかし、ご家族からしたら「底つき」させたくないって気持ちがありますよね。
可哀想だから。
その気持ちはわかるから。
「なにかしら違う道を提供しなければいけない。」
そんな想いを抱きながら、私たちは依存症問題に立ち向かっています。
ライター名: 金井駿