2018/04/17

アルコールや薬物など|依存症の引き金「H.A.L.T」

アルコール依存症と「HALT」の関係

「HALT」という言葉をご存知ですか?

 

この言葉はアルコール依存症の方の自助グループや薬物依存症の方の自助グループでよく耳にするかもしれません。

 

もしかしたらあなたは「HALTに気をつけろ」なんて言われたことがあるかもしれませんね。

 

HALTは、Hungry(空腹)Angry(怒り)、Lonely(孤独)Tired(疲労)の頭文字をとった言葉です。

 

依存症の方が断酒や断薬をしていても、それまでの苦しみや「生きづらさ」が解消していないときまた治療の途中でくじけそうになり再飲酒や再乱用といった可能性が高まるかもしれません。

 

この記事ではHALTについてそしてHALTの際に気持ちが少しでも楽になれる方法をご紹介します。

 

目次

 

1. HALTってなに?|再飲酒のリスクと対応法

HALTについて詳しく見ていきましょう

 

冒頭でもお伝えしたように、HALTはHungry(空腹)Angry(怒り)Lonely(孤独)Tired(疲労)の頭文字をとった言葉です。

 

HALTは、アルコールや薬物への渇望が高まりやすい時期に起こります。

 

このような状態の時私たちは物事の思考力・判断力が鈍り「これで最後だから」と依存状態に戻ってしまう場合があります。

 

しかし、置かれた環境を変えていくことで、そうした状況は回避できるかもしれません。

 

①Hungry (空腹状態)

お腹が空いているとアルコール摂取薬物使用の動機が高まります。

 

空腹時はイライラしてしまうからです。

 

今までは空腹時にアルコール摂取していた方もいるかもしれません。

 

アルコールをやめてからは口さみしさからから依存対象に頼ってしまうこともあります。

 

「HALT」のHはHappyのHと言い換えられる場合があります。

 

物事がうまくいき過ぎているとき思わぬ報酬があったときに「特別な日だ! 少しくらいなら大丈夫だろう!」と元の依存状態に戻ってしまうリスクがあるからです。

 

イライラしているときだけだけでなく楽しい気分の時・余裕ができた時にも、危険がつきまとっているのです。

 

対応策:

1. 空腹状態の際、空腹をそのままにせず、何か食べ物を口にするとよいかもしれません。

 

2. アルコールを摂取していた際に、もしかしたら三食しっかりたべるという習慣はなかったかもしれませんが、これを機に、3食食べる習慣を作り、空腹になりやすい環境を緩和しましょう。

②Anrgy (怒り)

多くの人にとって怒りを沈めるのは簡単なことではありません。

 

怒りを紛らわそうとして薬物を再使用してしまう人はとても多いです。

 

「依存できない」からといって怒りを露わにしたり、暴力をふるったりするのは健全ではありません。

 

またただ単に怒りを押さえこんでしまうのも健全ではありません。

 

どんな時に怒りが生じやすいのかどうやって怒りをコントロールしたら良いのか担当の医師・援助者の方と相談しながら取り組んでいきましょう。

 

対応策:

1. 怒りの感情は無理に蓋をするのではなく、自助グループ等で苦しい感情を吐き出すこともよいストレス解消法になるでしょう。

 

2. 深呼吸してみたり、アロマセラピーなどで、よいにおいをかぐことで気持ちを落ち着けることもよいでしょう。

③Lonely(孤独)

アルコール・薬物依存からの回復を決意したなら、これまでの依存仲間とは距離を置きましょう。

 

・普段の人間関係が壊れてしまっている

・精神障害から、友人付き合いが難しくなっている

・大切な人が自分の元から去ってしまった

 

しかし、これまでの生活から上記のような状態にある方もいるでしょう。

 

こうした寂しさ・孤独感を紛らわすために、アルコールや薬物に手を出してしまうかもしれません。

 

対応策:

1. 自助グループ等で自分と同じように、アルコールを断っている仲間をみつけることで孤独感は緩和されるかもしれません。

④Tired (疲労)

疲れはしばしば再発の引き金になります。

 

へとへとになっていたりエネルギー不足であると薬物の力を借りたくなってしまうのです。

 

薬物を使うことに慣れていた体が使わない体に慣れるまでの間十分に眠れなくなり結果として疲れが溜まることもあります。

 

仕事始めなどそれまでと違った生活で緊張することが増えその疲労感がどっとでてくる時は注意が必要です。

 

ストレスや疲労をためないようスケジュール調整できる部分は調整し意識して休む時間を作れるとよいでしょう。

 

対応策:

1. 今まで「疲れをとるために」依存していた場合、これらを断つことで、疲れが取れない可能性がある。

 →疲労をためないように予定調整してみるとよいでしょう。

 

2. 自分なりに疲れを癒す方法、疲れた気持ちを軽くする方法を見つけておくとよいかもしれません。

 

(私の場合、疲労感が強い時は、お風呂にゆっくり入ります。そうすると、軽くなる感じがするからです。疲れがたまるとゆっくりお風呂に入り、次の日に疲れを持ち越さないようにしています。)

 

2. まとめ

お付き合いいただきありがとうございました。

 

今回は、再飲酒や再使用のリスクになりうる環境HALTについてお話しました。

 

これまでの内容を整理します。

 

  • ①アルコールの再飲酒、薬物の再使用のリスクが高まる場面として「HALT」があります。
  • ②HALTは、Hungry(空腹)、Angry(怒り)、Lonely(孤独)、Tired(疲労)の頭文字をとった言葉です。

  • ③HALTになりそうな時は、第三者と協力し、自分に合った対応策を見つけましょう。

 

私たちヒューマンアルバでは、依存症を抱えた方に向けて様々な治療プログラムを提供しています。

 

再び飲酒してしまったり、再び薬物乱用してしまうこともあるかもしれません。

 

その際は、一緒に対策を考えていきましょう。

 

私たちの施設では、依存症を抱える当事者やそのご家族に向けて無料相談を行っています。

 

お電話でのご相談が難しければ、メールでも構いません。

 

自分たちだけで悩まず、ぜひ私たちのような専門機関を活用してください。

 

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社名: 株式会社ヒューマンアルバ

住所: 〒214-0038神奈川県川崎市多摩区生田6-4-7

電話: 044-385-3000 (受付時間: 平日10:00-17:00)

 

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会を開催しております。

 

依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

 

・つらい思いを吐き出す場として

 

・状況を変えていく学びの場として

 

ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)

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参考:

・松本俊彦, 小林桜児, 今村扶美『薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック』(2011) 金剛出版

・松本俊彦『臨床心理学』増刊第8号 やさしいみんなのアディクション(2016) 金剛出版

依存症者家族教室モデルテキスト1 NPO法人ジャパンマック

 

ライター名: 木原彩