事例1(川崎): アルコール依存症からの回復
主人の世話に、疲れ果てる日々
主人は元々お酒が好きで、毎日欠かさずに飲む人でした。
5年前から、アルコールの飲む量が更に増えるようになりました。
子供が3人いてそれぞれ大きくなりお金がかかること、主人の仕事も大変になっていたことが、原因の一つだったと思います。
「酒を出せ!」という主人に対して、「今日はもうやめたら」といって止めようとすると、人が変わったように「うるさい! さっさと出せ!!」と怒鳴るようになりました。
泥酔した挙句に吐く・夜中に失禁してしまう、ということも増えてきました。
そのたびに掃除したり、体をきれいに拭いてあげる日々にも、疲れ果てていました。
突き放す
ある時、知人からある施設を紹介されました。
アルコール依存症に詳しいトレーナーに相談したところ、
「ご主人を突き放してください。」
「お酒代を渡すのも、家に置くのもいけません。」
とアドバイスされました。
今までは怒鳴られるのでしぶしぶお酒を出していましたが、トレーナーの方のアドバイスにしたがい、世話をすることをやめました。
主人は以前よりも激しく荒れました。
暴言だけでなく、物を投げる、壊す。 すごく怖かったですが、幸い、高校生の息子が守ってくれましたし、息子が塾などで不在の間は友人の家に逃げていました。
「何もしてあげない」が正しいかわからなかったですが、とにかくトレーナーの方の言うことを信じてみようと思い、世話してあげることをやめました。
回復につながる
今まで私は、深酒のせいで会社に遅刻・無断欠勤する主人に代わり、「熱が下がらなくて」等と会社に嘘の電話をして、対応していました。
でも、それが間違いだと気づきました。
主人もついに、自分ひとりではどうにもならないことを認め、いやいや私と一緒に施設に通うようになりました。
まだ始まったばかりで不安なことも多いですが、とにかく最初の一歩を踏み出すことができてよかったです。
依存症回復施設『アルバ』からコメント
依存症の方によく現れる「暴言・恫喝」の中で、T・Yさんはよく耐えられたと思います。
最初は本当につらいですが、「何もしてあげないこと」を実施された成果だといえます。
今回のT・Yさんのように、ご本人を手助けするのではなくあえて突き放し、「ご本人を問題に直面させること」から、回復はスタートします。
今までのように失禁したご主人をきれいにふいてあげたり、会社を無断欠勤しても代わりに電話してあげる、といったことを続けていては、ご本人は対して困らず、残念ながら反省しません。
あくまでも自分で責任を取ってもらうこと。
「何もしてあげないこと」が最大の援助です。
ご本人が「自分はもう本当にダメかもしれない」といった感覚や体験を持つことを、「どん底体験」や「底つき」と呼びます。
この状態になるまでほうっておくのは、ご家族として本当に辛いことです。
しかし「これが最も本人のためになる」と考え、突き放し、見守ることが重要です。
当社では依存症から回復したスタッフ、医療機関・専門回復機関で長年依存症回復支援をしてきた実績豊富なトレーナーが在籍しています。
家族や友人の中に依存症の方がいてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
代表取締役社長 金井 駿
大学1年時に経営コンサルティング会社にて勤務。その後、IT系ベンチャー企業に入社。営業、マーケティング、新規事業立ち上げに携わった後、同社の新卒採用を統括。横浜国立大学経営学部卒業後、刑務所・少年院出身者専門の就労支援会社に参画、専務取締役就任。2017年3月に辞任後、「自分の家族のような、依存症で苦しむ人々をなくす」ことを決意し、株式会社ヒューマンアルバ設立、同社代表取締役社長に就任。